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【アリスのままで】

リチャード・グラッツアー監督・ウォッシュ・ウェストモアランド監督/2014アメリカ
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ジュリアン・ムーアの演技力なくては
成立しなかった作品



コロンビア大学で著名な言語学者として活躍する50歳のアリス(ジュリアン・ムーア)は、近頃、単語が出て来なくなったりと、物忘れが気にかかっていた。神経科で調べてもらったところ、若年性アルツハイマーと診断される。
アリスは自分が自分でいられるのは、この1年だと考え、少しでも自分らしくいようと努力し、自分宛のビデオメッセージを作る。





ジュリアン・ムーアは、
カンヌ国際映画祭女優賞、
ヴェネツィア国際映画祭女優賞、
ベルリン国際映画祭女優賞、
と、世界三大映画祭を全制覇した初の女優さんであり、
ゴールデングローブ主演女優賞も獲得しており、
そして今回の『アリスのままで』で、アカデミー主演女優賞を5回目のノミネートで悲願の受賞を果たしました。


『アリスのままで』は低予算映画です。
ジュリアン・ムーアは意欲的な人で、その役が気に入ったら、けっこう小さい独立系作品でも出演します。
今回の作品も、派手な作品ではなく、予算が少ないせいで、
どのシーンも3テイクまでしか撮れなく、
大きな照明機材がなくて日が落ちたら屋内の撮影は出来ない、
など苦労があったとジュリアンがインタビューに答えてました。

調べてみると、公表はされてないのですが、予算は約400万ドル。
内容も難病モノなので、どうしても派手さは無く、ありがちな話になってしまいます。
しかも話が話だけに「お涙ちょうだい」になりがちなのですが、
監督のワッシュ・ウェストモアランドとリチャード・グラッツアーは、
「小津安二郎の『東京物語』をひな形にした」
と語っていた通り、小津映画のように登場人物が静かな演技をしていました。



著名な言語学者で、その世界の権威でもあったアリスは、若年性アルツハイマーだと分かり、自分が学問としてきた「言葉」を日々、失う事となりました。
またアリスの若年性アルツハマーは「家族型」と呼ばれるタイプで、遺伝によって発症すると分かっており、アリスの3人の子供たちはそれぞれ病気に対して違う感情を見せます。

アリスの家族は、
夫ジョン(アレック・ボールドウィン)・・・医者
長女アナ(ケイト・ボスワース)・・・法律関係
長男トム(ハンター・パリッシュ)・・・医学院生
次女リディア(クリステン・スチュワート)・・・劇団所属

という、次女だけが異端で、アリスの心配の種だったのですが、次女が最後まで母を見守る決心をします。
リディア役のクリステン・スチュワートは『トワイライト』シリーズが有名で、私生活では、不倫やレズビアン疑惑で派手なゴジップが常に付きまとう人なのですが、演技は素晴らしいですね。
かなり難しい役でしたがジュリアンに食らいついてました。


アリスは病気の進行を少しでも遅らせようと、単語パズルをしたり、メモを取りまくったりするのですが、病気の進行は早く、まるで急速に年老いるようにアリスは言葉を失くしていきます。

アリスがまだ自分であるうちに、とチャレンジしたスピーチ。
これが物語の山場です。
世界中を飛び回っていた言語学者だったアリス。そのアリスが、自分がアルツハイマーで、この病気にどう立ち向かって行くのか、を語る場面。

ジュリアン・ムーアは、このシーンのスピーチの脚本が気に入らず、書き直しを頼み、3回目の脚本でパーフェクトと思ったそうですが、その脚本を書いたのが監督のリチャード・グラッツアー。

リチャード・グラッツアー監督は、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の合併症により、先日63歳で亡くなられました。
4年間の闘病生活だったようで、この『アリスのままで』の撮影の時も病気との闘いだったようです。

リチャード・グラッツアー監督とウォッシュ・ウェストモアランド監督は同性の夫婦で、この2人が『アリスのままで』を映画にしようと選んだこと(原作は「静かなアリス」という小説)、お涙ちょうだいでもなく、大騒ぎでもなく、あえて静かに病気に立ち向かう家族たちを描こうとしたことなど、2人の人生がそのまま映画になったのではないか、と感じます。

愛する家族が苦しみ、治しようもない病気で亡くなると分かった時、身近な人間は何をしてあげられるのか?
そして本人は自分とどう向き合っていけばいいのか、監督は同じ病気を持つ患者や家族に大きな勇気を与える見本となったとインタビューで話してました。

決して派手な作品でもないし、楽しくなる映画でもありません。
それでも人はどこまで尊厳を持って生きれるか、もし自分がそうなった時に、アリスのように、リディアやジョンのように振る舞う事が出来るのか、と考えさせられる1本です。



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